新型コロナウイルスの感染拡大状況下ではありますが、春日山原始林を未来へつなぐ会では、保全ワーキンググループによる活動をスタートしています。
屋外での活動であること、少人数のグループに分かれ、手指消毒やマスクの着用など対策を講じて実施しています。
活動内容は、これまで通りナラ枯れ対策としてトラップの設置を行うとともに、原始林内35箇所の植生保護柵の点検・整備作業のほか、ナンキンハゼの実生駆除作業などを行う予定です。
5月には今年度最初の活動を実施し、トラップの設置を行いました。
ナラ枯れについては、つなぐ会の活動においては、ここ数年でカシノナガキクイムシの捕獲数が減少し、ナラ枯れ被害もひと段落という予想もありますが、
このトラップ設置によって、原始林内でのカシナガがどの程度発生しているかをモニタリングすることも目的の一つとしています。
また、春日山原始林の保全活動で最も重要なのが、植生保護柵の点検作業です。原始林内の実験区は35箇所で今年度新規に大きな柵を設置予定ですが、現状では春日山原始林の植生回復に向けた取り組みとして効果的なのはこの保護柵による防除のみです。35箇所というと非常に多いように感じるかもしれませんが、原始林全体の面積からすれば微々たるもの。柵の設置自体が実験区の位置づけとなっているため致し方ないのですが、この範囲をどのように広げていくかが重要です。
第33回目となる「春日山原始林観察会」を5/22に開催しました。
本来であれば、一般募集を行なって多くの方にご参加いただきたかったのですが・・・。
新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、急遽会員限定の観察会に変更し実施しました。
当日の講師は、当会副会長の酒井二郎さん。
グリーンあすなら巨樹・巨木の会でも活躍する巨木案内人ではありますが、実は木工も得意とされています。
今回の観察会では、原始林にある樹種が材としてどのように活用されるかというところを焦点に解説をしてもらいました。
初夏の春日山はとても気持ちが良く、みなさん森歩きを楽しまれたようです。
事務局スギヤマは、ついつい好きなモノを見つけて写真を撮っていたら全体から大幅に遅れてしまい、
慌てて追いかけるという状態でした(笑)
今年はかなり早い梅雨入りとなりましたが、おかげで春日山は梅雨の晴れ間でとても美しかったです。
リフレッシュにぜひ春日山を訪れて、森の空気を胸いっぱいに吸いこんでみてはいかがでしょう。
今年度の観察会については、現在日程の再調整中です。
後日アップしますので少々お待ちください。
ヤブツバキについて解説中。
モミについての解説中?
若草山から眺める春日山
春日山の高木層。シイ・カシ類などの照葉樹とスギ・モミなどの常緑の針葉樹を見ることができます。
気持ち良い天気となった4月24日。
奈良公園登大路園地でアースデイ奈良2021が開催されました。
つなぐ会では、ブースの出展に加えて、自然体験プログラム「春日山自然学校プロジェクト」を開催しました。
今回も高学年向けの原始林を歩くコースと、低学年・親子向けの奈良公園の自然を楽しむネイチャーゲームのプログラムの2コースで実施しました。
新型コロナウイルスの影響で、子供たちを自然に触れさせたいという思いからか、親子連れのお申し込みが多くなりました。
今回は、奈良教育大学ユネスコクラブの学生さんにボランティアで同行してもらいましたので
学生さん目線でのレポートをお送りします!
歩いて学ぶ春日山コース
4月24日,11時に奈良公園を出発し,3時間ほどかけて春日山遊歩道を歩き,奈良公園へ戻ってきました。当日は雲ひとつない快晴で汗ばむほどの陽気でしたが、原始林の中はいつものように暗く、ひんやりとしていました。
少人数の3チームに分かれて春日山を歩きました。3チームは年齢層が異なっていたので、興味も異なっていました。
小学生の子どもたちは木や草、葉っぱに触れるのに興味津々で触り出すと動こうとしません。
一方で大人チームは植生や歴史に関心が高く、ガイドさんのお話に耳を傾けていらっしゃいました。
また、親子チームはガイドさんとたくさんお話しして、春日山原始林の自然に触れたり、耳で聞いたり、目で見たりして体感していらっしゃるようでした。
どの参加者の方にとっても、それぞれの興味に応じて楽しく深い学びになったのではないかと思います。
(レポート:奈良教育大ユネスコクラブ 川田さん)
親子で楽しむネイチャーゲーム
ネイチャーゲームでは、午前の部と午後の部の2回の実施となっていました。
午前の部では、お気に入りの葉を探し、その匂いを嗅いでみたり、葉を観察したあと、自然の宝物探しを行きました。松ぼっくりや鹿の抜け毛、面白い形をした葉などを参加者は思い思いの宝物を見つけていました。その後、二つの組に分かれ、自然のものを使って顔を書いたり、葉を色々な角度で観察し、目や口を発見して、紙に書きました。
午後の部ではネイチャービンゴと虫眼鏡を使った探検を行いました。いつも何気なく見ている自然について、様々な視点から観察することは、参加者のみなさんにとって珍しい体験であったようです。特に、虫眼鏡を使った探検では、アリの巣を発見し、アリの巣を思い思いに観察していました。アリの巣は、どのように広がっているのか、アリは何を運んでいるのだろうと子どもたち自身が疑問を見付け、問いかけたり、観察したりしていました。保護者の方々も、虫眼鏡を使って、普段は観察しない、木の表面を見たりして楽しんでいる様子でした。
私にとって、ネイチャーゲームは初めての体験でした。私自身もふだん自然を深く観察したことが無いので、とても新鮮な体験となりました。参加者の皆さんが思い思いに自然と関わる姿を見て、自然の魅力に関心を持ちました。将来、教師になったときに子どもたちの興味関心を引く授業をするために、ネイチャーゲームの知識を蓄えたいと思いました。
(レポート:奈良教育大ユネスコクラブ 佐藤さん)
アンケート結果から
参加者アンケートから、以下のような声をいただきました。
■歩いて学ぶ春日山
■親子で楽しむネイチャーゲーム
アースデイを開催した4月以降、新型コロナの影響でお出かけするのも憚られる状況になってしましましたが、身近な自然を楽しみながらストレスなく過ごす工夫ができればと思います。
つなぐ会の観察会は、現在予定している企画については、会員限定での開催とさせていただいております。6月以降に観察会の企画が控えておりますので、またブログでご紹介いたします。
このプログラムは、NPO法人奈良ストップ温暖化の会とアースデイ奈良、との三者共催で実施しました。「親子で楽しむネイチャーゲーム」の運営は、奈良県シェアリングネイチャー協会にご協力いただきました。
また、運営費用は、近畿ろうきんの笑顔プラスの寄付金を活用させていただきました。