春日山原始林を未来へつなぐ会

お知らせ

【クラウドファウンディング実施中】春日山原始林アートプロジェクト

2022年07月11日

2020年、2021年の2年間実施してきた「春日山原始林アートプロジェクト」これまでは、助成金で運営してきましたが、今季は、ワークショップをつなぐ会として「子どもゆめ基金」の助成活動として実施予定ですが、展覧会の実施と、ワークショップの一部資金が不足していることから、このプロジェクトを協働している一般社団法人はなまると「春日山原始林アートプロジェクト実行委員会」という形で、クラウドファウンディングにチャレンジしています。

本日、7月11日(月)から9月10日(土)まで募集しています。
目標金額は50万円。
ワークショップの運営にかかる講師謝金の補填や、人件費等々不足している部分に充当させていただきます。
返礼品には、これまでのアートプロジェクトで出品されている作品のほか、春日杉の木片、つなぐ会とGood Jobセンターでコラボして作った、春日山人工林間伐材を使った木札、つなぐ会メンバーによるガイドツアーなど様々ご用意しています。
https://camp-fire.jp/projects/view/595722

今回のプロジェクトを通じて、春日山原始林のことをインターネットを活用してより多くの方々に知っていただく機会となればと思っています。

ぜひ、皆様にも支援と情報の拡散にご協力ください!


【レポート】7/3 第36回世界遺産春日山原始林観察会「春日山原始林の粘菌」

迫りつつある台風4号の影響で、不安定な天候のもと、第36回の観察会が開催されました。今回のテーマは「粘菌」。

これまでの観察会でアンケートをとった際に希望のあったこのテーマです。講師をお願いできる方はいないかと、メンバーで検討してダメもとでお願いしてみようと2021年に相談したのが、今回の講師の川上新一先生でした。

和歌山県立自然博物館で粘菌について研究されており、図鑑等でも粘菌の魅力を発信している先生に来てもらえることになり喜んだのですが、残念ながらコロナによる緊急事態宣言により、延期に。
2年越しでようやく開催となりました。

ただ、生憎の空模様。予報はほぼ1日雨。とはいえ、忙しい先生のスケジュールもあるので今回は中止できないと思い、雨天決行とさせていただきました。

冒頭にご用意いただいた資料をもとに、粘菌(変形菌)について簡単な解説をいただきました。粘菌には、①変形菌と②細胞性粘菌、③原生粘菌の3種があり、今回観察するのは①の変形菌で、②③については、顕微鏡等でないと観察が難しいそうです。

粘菌の特徴はなんといっても、そのライフサイクルです。胞子で飛ばされたあと、アメーバ状→変形体→菌核→子実体と、胞子で増えるもののキノコなどの菌類(真菌)とも異なり、しかも自ら移動することができるというところ。
(詳しくは以下をご覧ください。摩訶不思議な単細胞生物〈変形菌〉に興味が尽きない!<Webマガジン「BuNa」>

今回は、参加者の皆さんと一緒にガサゴソと枯れ葉や朽木を探し、「これかな?」というものを川上先生に見ていただくという形をとりました。

今回は、朽木の多い滝坂の道を目指して歩きます。途中、落ち葉の溜まった白乳神社周辺エリアで観察開始です。

ごろごろどかーんと雷が響く中、枯れ葉を真剣に探す参加者のみなさん。天気が悪くて、ハイカーが歩いていないのが幸いしました(笑)

落ち葉を探る参加者、何をやっている人たちだろうと怪しまれそうです。

冒頭に普段から粘菌観察されている方が易々と見つけたのですが、普段、昆虫や小さな花、苔などを見つけては観察する参加者の皆さんは「どこらへんにいるのかの想像がつかない」と悪戦苦闘。

それでもようやく見つけた「カンボクツノホコリ」「ナミウチツノホコリ」をそれぞれ回しながらルーペで観察します。

ルーペを使って観察。おぉ〜、きれ〜い。などの感嘆の声が漏れます

場所を移動して、滝坂の道の手前、通称滝坂の森周辺に、ここまでくると、皆さん落ちている朽木に何かないかと探し回ります。ここでは、下見で見つけてあった、「マメホコリ」を観察。そのほか、参加者の方が根気良く探してくださったり、それぞれが粘菌の目になって森を探し回ります。

先生、これはどうでしょう?と聞くと「おっ!これは…」と見ていただき、「やりましたね」と言われるととても嬉しいです。

その後、滝坂の道の春日山原始林エリアまで移動、ムクロジの小さな花が道いっぱいに広がっていました。カギカズラの花を観察したり、毛の生えたカタツムリを発見したり、粘菌以外にも小さなキノコ(菌類)やタゴガエル、例年より早くなき始めたヒメハルゼミの声、ムラサキシキブの花なども楽しみました。
小さなものを探すことで、普段見過ごしてしまうそのほかの森のいろいろな生き物たちに目を向ける機会ともなりました。

タゴガエル
ムラサキシキブの花
キノコの仲間

13時からスタートであっという間に3時間。降ると言われた雨もなんとかもってくれて、満足感のある観察会となりました。

■観察することができた粘菌(全9種)
・コシロジクキモジホコリ
・カンボクツノホコリ
・ナミウチツノホコリ
・ススホコリの一種
・マメホコリ
・ホソエノヌカホコリ
・ヒメカタホコリ
・ウツボホコリ
・アオモジホコリ
(下見では、ムラサキホコリも発見)


事務局スギヤマは、初めはなかなか見つけられませんでしたが、徐々に目の付け所を覚え、ホソエノヌカホコリ、ヒメカタホコリ、アオモジホコリの3種を発見。「粘菌の目」を手に入れました。

ホソエノヌカホコリ
ヒメカタホコリ
アオモジホコリ

粘菌の自然界における役割の仮説としてご紹介いただいたのが、バクテリアやカビ・キノコといった「分解者」を粘菌が食べることによって、分解を遅らせている。ということ。それにより、多くの生き物の棲家の提供や、落ち葉などの保水効果を発揮させ、土壌流出を抑えることで、生態系の維持につながっているのではないか。というものでした。
今回、川上先生も初めて春日山原始林の粘菌を観察されたこともあり、春日山原始林のどのような粘菌が存在しているかはまだまだ未知数です。ただ、こうした小さな存在も、春日山原始林を未来へ繋ぐための大切なのだと、改めて実感することができました。

今回は全て子実体の観察だったので、川上先生にお願いして、先生の著作を購入させていただいたので、これを見ながら、今度は変形体の状態を探してみたいと思いました。意外と身近に存在している変形菌、図鑑を片手に近くの公園をガサゴソするのも面白いと思います。

 

変形菌 発見と観察を楽しむ自然図鑑(山と渓谷社)


【募集中】夏の春日山原始林ウォークー夜編ー

■夏の春日山原始林ウォークー夜編ー
つなぐ会の会員さんを中心に季節の原始林を歩く「春日山原始林ウォーク」
普段歩くことのない夕方から夜にかけての春日山を歩きます。
西日に照らされた夕暮れの春日山と夜の暗い森を楽しみましょう。

開催日 2022年7月10日(日)18:00~20:00(予定)
集 合 奈良公園 浮雲園地
    https://goo.gl/maps/tKMcEZxxr5qqhpz96
コース 浮雲園地ー春日山遊歩道北部ー途中折り返し
参加費 500円(春日山原始林を未来へつなぐ会会員は無料)
    ※会員の方は参加人数を把握したいので可能な限り事前にお申し込みください。
持ち物 懐中電灯、敷物、行動食、飲物、虫除け
服 装 長ズボン、歩きやすい靴、軽い上着
    ※原始林内ではヤマビル・虫刺され等の対策として長袖・長ズボンを推奨します。

※奈良県北部の当日朝7時の予報で、18時〜24時が40%以上なら中止とします。
申し込み https://forms.gle/7qM75sDJ2UjEnnsS9