2017年9月9日(土)に第14回となる市民観察会を実施しました。
今回のテーマは「悠久の森とシカの関係」と題し、長年、春日山原始林を研究されている
前迫ゆり先生(大阪産業大学教授)による観察会でした。
前半は、現地観察会です。
春日大社国宝殿に集合して、春日山遊歩道北部へ。所々で原始林の現状や研究サイトなどを見ながら 若草山山頂までのぼりました。先生の足取りは非常にパワフルで、皆さんついて行くのがやっと。。ということもありましたが、充実した内容となりました。
午後は、春日野国際フォーラム別館にて、講義です。
春日山の現状について、今みてきたことについて、データなど交えながら詳しいお話を伺うことができました。
20年の調査研究に導かれて照葉樹の森の過去・現在・未来を見て、 聴いて感じ、説得力のある内容でした。
現在の春日山原始林では倒木後に生まれた日当たりの良い箇所(ギャップ)が生まれても植生保護柵を設置しないとシカの食圧によって更新が進まない、また、ナンキンハゼなど明るい場所を好む樹(パイオニア植物)の問題を抱えています。
今求められているのは、早急なシカの科学的な調査研究と森とシカ関係者交えたのビジョンを持った話し合いが切望されているとのことでした。
春日山原始林を未来へつなぐために、私たちからできるアクションについて考える観察会となりました。
【参加者の感想(抜粋)】
初参加でした。いつも何気なく歩いたりしていましたが、植物に少し興味深くなり、奈良公園、春日山原始林の事、知りたくなりました。
照葉樹林の大切さがわかり、良かった。ナンキンハゼが多いのに驚いた。
次の世代にまで照葉樹林として維持していく努力が必要な時が来ていると思いました。今、春日山原始林でどんなことが起こっているか、前迫先生との観察で良く分かりました。ありがとうございました。
春日山原始林のかかえる問題を具体的に森を見て実感します。 若草山からの原始林の山なみは素晴らしい景色で、中味も豊かであれと思うばかりです。
先生がパワフルで、説明がとても興味深く、楽しい観察会でした。
シカのエリア毎の生息調査が必要なことがよくわかった。