44回春日山原始林観察会
春日山の昆虫と夜の森 レポート
奈良教育大学 小長谷先生を講師に迎え「昆虫と夜の森」観察会を行いました。
原始林では観察のみで、昆虫だけではなく木の葉等も持って帰らない事、生物の声を聴くため出来るだけ静かにする事などの注意を受け、ヒグラシの鳴くなか総勢30数名で日没近い原始林の中に入りました。
早速入り口付近で体長5センチ近い「オオゴキブリ」に遭遇しました 朽木を食べるため清潔との事 手に取って観察すると、黒く光沢のある体、カブトムシのようなトゲのある脚、子供達から「カッコイイ」の声が上がりました。
目的地に移動し、白い布に紫外線ライトを当ててトラップを設置します。参加者たちにはUVカットのサングラスをすること、光源を見ないことなど注意がありました。
日没までの間、遊歩道を散策し、暗くなっていく森を感じながら歩きます。途中、道端にシートを敷いて、しばし暗くなるまでの時間を味わってみました。暗くなってきてからも、人工的な灯りのない春日山でライトをつけずにトラップ設置場所まで戻ります。途中、カラスの寝床では、バサバサと羽ばたきが聞こえます。また、入ってきた時は蝉の声だったのが、いつの間にかキリギリスの仲間の声に変わってきていました。
戻ってみると昆虫が集まっていました。
ヒメコガネ、カドマルエンマコガネ、スジクワガタ 、ゲンゴロウ カゲロウ、ヒグラシ、女王アリのほか、すぐには判別できない甲虫も2種いました。
調査の入っていない原始林のため、新種の蛾が発見される事もあるそうで、貴重な森である事を実感しました。
しばらくすると大型の蛾がやって来ました。
フクラスズメは、止まっていると茶色の前翅しか見えませんが、羽ばたくと後翅の青が見えるのでその美しさに歓声が上がります。
ヤママユは、先生に蛾の持ち方を教わり、体温が40度にもなるモフモフのお腹を触らせてもらいました。
翅の目玉模様の部分が鱗粉がなく透けていること、触角や腹部の形で雌雄を判別することなどを学び、ジュニアリーダー達も熱心にメモを取っていました。
暗くなるにつれあちこちで「バッタがいた」「カエルがいる」「この蛾なんて種類?」など子供も大人も夜の森を堪能している様でした。