暖かい日が続く11月。数年ぶりとなるシダをテーマとした観察会を開催しました。
講師は、吉野で「しだのすみか」を運営する木下さん。春日山原始林の遊歩道南部コースを歩いてシダを観察して回りました。集まったのは定員いっぱいの20名。マニアックな関心をお持ちの方(会員がほとんどですが)がたくさんお集まりいただきました。
冒頭、入口付近からマメヅタ、ビロウドシダなどよく見たらシダはたくさん生えています。「シダ」というとどれも似ていて違いがわからない印象がありますが、どの点に注目して観察すると、シダが面白くなるのか、そのポイントをホワイトボードや資料を使って丁寧に説明してもらえて、参加者のみなさんは興味津々。懸命にメモを取る姿が印象的でした。
遊歩道入口からスタートして、案の定、なかなか歩みは進まないものの、時間が経つにつれて参加者の皆さんの「シダ目」がぐんぐん開いていくのを感じました。
印象的だったのは、胞子の話。私たちがよく目にしているのは胞子が入っているいれもの(胞子嚢)で、その中に目に見えないサイズの胞子が森の中に漂っているということでした。
シダだけでなく、コケやキノコなどの胞子、また季節が変われば木々の花粉など目に見えないけれど森の中には様々な物質が漂っているのを意識する機会になりました。
私たちが森で息を吸い込む時、まさに森そのものを吸い込んでいるから森ではリラックスしたり、自然の一部であるという感覚が呼び起こされるのではないかと感じました。
地味なシダですが、森の特定の植物をよーく観察すると見えてくるものがたくさんあります。皆さんもぜひ、春日山を歩いて森の発見をしていただけたらと思います(文責:すぎやま)