春日山原始林を未来へつなぐ会

事務局日誌

【レポート】6/15「奈良公園の隠れた主役!? 糞虫を観察しよう!

2025年06月19日

降水確率50%と催行規定ギリギリの曇天の朝、総勢20名による観察会がスタートしました。「春日山原始林ジュニア博士」も2名が参加、今年度最初の活動となります。

本日の講師は「糞虫王子」こと、ならまち糞虫館館長の中村圭一さん。糞虫が多く見つかる場所がいいですねということで、今回は春日山原始林を飛び出し、シカの糞が豊富な飛火野が舞台です。
最初に、中村さんから「最初は明るい芝の草地、次に暗い林の中、さらに落ち葉が積もった湿度の高い場所、と違った環境で糞虫を探し、それぞれで見られる種類を観察しましょう」と説明を受けます。

「糞虫はシカの糞に含まれる繊維は食べ残すので、そのパフパフした繊維の近くにある穴の空いた糞の中に潜んでいることが多い」と糞虫探しのコツも教わります。糞虫が入った糞には必ず穴があり、小さい虫なら穴も小さく、体が大きければ穴も大きいそう。さっそくピンセット片手にしゃがみ込み、目星をつけた思い思いの糞をホジホジし始めると、すぐに小さな糞虫がゾロゾロ見つかりました。中村さんから借りたファイルでウスイロマグソコガネであることをみんなで確認します。

さらに、奥のうす暗い林へ移動。光が少なく、糞をほじっても中に虫がいるのかどうかも見えにくいほどです。中村さん持参のペンライトでジュニア博士が手元を照らす中、大きめの穴の開いたやわらかな糞を小さなスコップでかき分けていく中村さん。すると、大豆サイズの黒くて大きな糞虫が何匹も現れました。カドマルコエンマコガネです。前胸の角がとんがっているのが特徴だそうで、まるでとがった肩パッドが入っているように見えます。糞の下にまで穴を掘って深く潜り、その穴に糞を持ち込んで卵を産みつける特性をもっているそうです。

続いて、鹿苑の奥の落ち葉が溜まった湿った場所に移って観察を開始。足元ではヤマビルも待ち構えているので要注意です。あちこちに目を凝らすうちに、参加者の方が瑠璃色に輝くオオセンチコガネ、通称ルリセンチコガネがたくさんかたまっているスポットを発見し、大盛り上がり!頭の先まで同じ色で光っているものがオスだと教わりました。

他にもゴホンダイコクコガネ、マエカドエンマコガネ、ナガスネエンマコガネなど多くの糞虫が見つかり、心配した雨に降られることもなく無事観察会は終了。参加されたみなさんの満ち足りた顔が印象的でした。