春日山原始林を未来へつなぐ会

お知らせ

【レポート】第43回 世界遺産春日山原始林観察会 春日山の石仏

今年は、バッチリ焼けた若草山山焼きの翌日、第43回目となる観察会を開催しました。
今回のテーマは「石仏」春日山原始林の南端に位置する「滝坂の道(旧柳生街道)」沿いには
いくつもの磨崖仏が残っています。
今回は、この磨崖仏や石塔などを研究されている大阪大谷大学の狭川先生をお迎えして石仏めぐりを行いました。

■開催概要
第43回世界遺産春日山原始林観察会「春日山の石仏」
開催日 2024年1月28日(日)9:00〜12:00(予定より早く終了)
場 所 春日山原始林・滝坂の道、地獄谷国有林(地獄谷石窟仏)
参加者 27名(スタッフ含む)
講 師 狭川真一先生(大阪大谷大学)

寒い時期にも関わらず、一般の方、つなぐ会会員合わせて定員間近までお申し込みをいただきました。
ポイントポイントで非常にわかりやすく、石仏群が作られた経緯や、どのような考えだったかの考察を交えながらのお話は非常に学びの多い時間となりました。

東大寺・興福寺、そして春日大社など春日山に関わる当時の信仰やその変遷などについても学び、禁伐以前の春日山もやはり社寺との関係や奈良の街との関係が深かったことを意識させられました。

また、久しぶりに滝坂の道を歩かれた狭川先生は、滝坂の道沿いの特に石仏がある岩場の木々がとても少なくなっていることに驚きと、崩落への危機感をお話しいただきました。また、これまで木々に隠れて
見えなかった新たな石仏や遺構が見つかるかもしれないともお話しされていました。
(※原始林内は許可のない立入が禁止されています。歩道外、特に石仏近くは崩落の可能性もあり非常に危険な状態ですので絶対に立ち入らないようにしてください)

これまでもガイドの機会などで紹介してきた石仏群が、あらためて貴重なものであることを再確認する機会となりました。人々の信仰や浄土への願いなど様々な想いが込められた場所である春日山。
現代の私たちにとってもかけがえのない大切な森として、今後も微力ではありますが、保全の取り組みを進めていく必要性を感じました。
(すぎやま)


滝坂の道沿いに設置された唯一の植生保護柵について説明。


石仏が見えるポイントでわかりやすい狭川先生の解説をいただけました。


これまで、なかなか見つけられなかった「石像岩四仏」やっと場所がわかりました

「朝日観音」弥勒仏がなぜ掘られているのかも今回解説の中で理解することができました。

朝日観音を開設いただいている様子。