春日山原始林を未来へつなぐ会

事務局日誌

第9回 春日山原始林保全計画検討委員会が開催されました。

2016年03月11日

昨日、「第9回春日山原始林保全計画検討委員会」が開催されました。

主な議事内容は

(1)春日山原始林における後継樹育成について
(2)春日山原始林における常緑広葉樹ナギの本格的な数量調整について
(3)春日山原始林保全計画のとりまとめについて

(1)については、前回の検討委員会で提案された後継樹育成のための種子採取と育苗について、議論を深めたことになりました。基本的には、種子採取をして7年間育成させた後、補植するということです。補植についても、倒木のあったギャップに元あった樹種を植えるなど大きな改変とならないよう注意しながら進めていくとのことです。

(2)については、原始林内のナギの植生状況を把握した上で、ゾーニングを行い、数量調整を実施していくという内容でした。ただし、ナギが密生している地域で数量調整した後、そのエリアを柵で囲うなどの対策を行わないと、シカやイノシシなどの影響により下層植生の回復は困難なため、細かな対応が必要となりそうです。

(3)については、これまでの議論を集約して以下の10の基本方針を元に保全方策を実施することが決まりました。

■春日山原始林の10の保全方策
01.照葉樹林を良好な状態で維持する保全方策を実施する
02.照葉樹林の多様性を維持する保全方策を実施する
03.後継樹を育成し文化財としての価値を修復する保全方策を実施する
04.外来種ナンキンハゼの侵入を抑制する保全方策を実施する
05.常緑針葉樹ナギの拡大を抑制する保全方策を実施する
06.ナラ枯れの拡大を抑制する保全方策を実施する
07.花山・芳山地区人工林の保全・利活用を実施する
08.保全事業を円滑に実施し得る仕組み作りを行う
09.多様な主体の参画を図る
10.春日山原始林に関する基礎情報のマネジメントを図る

計画は5ヶ年の短期目標、15年~30年の中期目標、100年後の長期目標に分けられていますが、これが具体性を持って実行されるかが、今後の大きな課題となります。
特に資金面については、県予算が今後目減りしていくことが予測される中、たのみの綱が「奈良公園観光地域活性化基金」という寄付ベースの資金となり、安定性に欠けるため、国の特別天然記念物で世界文化遺産の1要素である春日山原始林の保全の必要性(魅力・価値)を効果的に伝え、多くの方々が「原始林の保全が必要だ」と認識を広めていくことが最も重要ではないかと考えます。

春日山原始林保全計画検討委員会