曇り空の中、当日入会いただいた方も含め、総勢21名の会員が参加。
今日の講師である松井先生が作成された「原始林でよく見る樹木」の一覧表を手に北部遊歩道をゆっくり歩きながら、さまざまな樹木や森の様子を観察しました。
弱った枝は実をたくさんつけた後で落とす、
葉が重なり日光が当たらない場所は自然と葉を落とすので
モザイクのような樹冠「クラウン・シャイネス」ができるなど、
実際にナギやクスノキ、ツブラジイなどを見ながら先生が解説される
植物の生態は理にかなうことばかり。
参加者からも次々に質問が上がります。
そしていよいよ今回のメインイベント、植生保護柵の観察タイム。
ニホンジカから植物を守るために林内に作られた柵の中を、
奈良県に特別に許可を得て見学しました。
シイ類やモミ、シロバイ、ムラサキシキブなど、柵の外にあれば
ニホンジカに簡単に食べられてしまうさまざまな幼木が育ち、
中には10年くらいにまで成長したものも。
小さな芽吹きもいっぱいで、先生がおっしゃる
「森が循環するには、常緑樹と落葉樹、両方が育つことが大切」というその通りの環境が生まれつつあります。
普段、当会が保全活動の一環として点検を行っている保護柵の中で、
小さな森が育っていることに感動するとともに、
この特別天然記念物の森を、今後、県はどのように守っていくのか。
今後の保全計画のビジョンが気になります。
「森は、その土地に住む人によって使い方が決められてきた」と先生。
生活に必要な薪炭の供給地として利用し維持したり、
鎮守の森として保護したり。
では、春日山原始林は?
この地に住む人、集う人に何ができるのかをみんなで考え、
関わっていくことの重要性を感じた一日でした。