2025年07月07日

7/6(日)に春日山原始林天然記念物指定100周年記念イベント「春日山原始林のこれからの100年に向けて」を開催しました。
定員200名を超えるご参加をいただき、盛況のうちに終了することができました。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。簡単なレポートをお送りしようと思います。
第1部 春日山原始林の価値を知る
挨拶・春日山原始林保全計画について
冒頭は、奈良公園室 出井室長よりご挨拶いただきました。
その後、公園室奥田補佐より、「春日山原始林の成り立ちと現状」と題してのお話です。春日山の管理の変遷や、過去の写真資料などを多様しながらのお話は、つなぐ会メンバーも学びの多いお話しでした。時間の設定が短くしてしまったのが悔やまれ、非常に濃い内容でした。また機会を改めてじっくりお話しを聞きたい内容でした。

スライドトーク 春日山原始林「生き物たちの暮らす森」
講師 佐藤和斗氏(自然写真家)
佐藤さんのスライドトークは、動画なども交えて非常に迫力のあるお話しとなりました。佐藤さんが原始林の生き物等を紹介するイキイキしたお話は、多くの方に驚きと感動を与えるとともに、原始林への関心を高めることになったようです。
撮影の苦労話でさえ、楽しそうと思ってしまうほど。森の中で生き物をじっと待ち続ける時間を通して森との対話をされているのだなと感じました。



佐藤さんは、撮り溜めた春日山原始林の写真を写真集や展覧会を開催予定されており、この日からクラウドファウンディングを始めるそうです。リターン品も素敵なので宜しければ、応援していただけたらと思います。
【世界遺産・春日山原始林いのちの森を未来へ!】佐藤和斗写真集&写真展プロジェクト
第2部 春日山原始林の未来を考える
第2部は、春日山原始林を未来へつなぐ会のこれまでの10年の活動について紹介をさせていただいたのち、パネルトークを開催しました。
パネルトーク「春日山原始林のこれからの100年に向けて」

パネリスト(左から)
・松井淳氏(春日山原始林保全計画検討委員会委員長)
・朝廣佳子氏(鹿サポーターズクラブ代表)
・竹田博康氏(前奈良県観光局長)
・河原宏吉(春日山原始林を未来へつなぐ会会長)

テーマ1春日山原始林をどのように保全していくのか
原始林保全検討委員会の委員長も務められている松井先生に保全の取り組みに今後どのようなことができるかをお話しいただきました。
春日山原始林は、1980年代以前に研究者が課題として指摘していたことがそのまま解決されず危機的な状況となっているということですが、一方で保全するということ、森に手をいれるということに対して、否定的な考え方を持つ人もおり、保全の必要性への理解や、原始林への関心や現状の理解が必要であることを指摘されていました。
また、会長からもやはり多くの人が森を訪れて注目してもらうことが、森を守っていこう、つないでいこうという動きのキモになるのではと話しました。

テーマ2春日山原始林とシカ、人との関わりのあり方
保全の中でもポイントとなるシカの関わり。奈良公園平坦部でシカと人との共生をテーマに、シカとの触れ合いかたについて啓発をすすめている鹿サポーターズクラブの朝廣さんからは、鹿のことについての理解を深める必要があることが重要で、原始林についても同じではないかとお話しされました。
よくわからないもしくは、一つの側面だけを見て物事を判断するのではなく、多面的に見る必要性、もしくは、そうした視点を提供することの必要性を考えました。
また、原始林のシカが約100頭程度いるということについては、松井先生から面積あたりの頭数としては非常に多いという指摘もありました。大台ヶ原の事例で、1キロ平方メートルあたり5頭という目標値でも植物が想定していた通りには回復しない状況などもある事例を出しながら、奈良公園や原始林のシカの頭数について、来場者の方々もも考るきっかけになったのではないかと感じました。
そして、シカの立場になったとしても、本来食べないもの(好物でないもの)を食べている現状は、幸せとは言い難いのではないかと会長が指摘しました。
シカは奈良にとって重要ですが、人がどのように関わっていくかを知恵を出し合って検討する必要があると感じています。

テーマ3春日山原始林の利用 展望と課題
次にテーマは利用へ。インバウンドを中心に来訪者が多く訪れる奈良公園でさまざまな課題が出ています。原始林でも外国人の方をよく見かけるようになっていますが、利用のマナー等啓発については、それぞれの立場のかたに伝わりやすい手法を考えていく必要があると竹田さんは指摘されていました。
同様に原始林の価値を伝えるのも、ガイドの存在が必要であったり、看板の設置にしかた一つとっても工夫が必要なのではないかというお話しでした。
一方でガイドをどのように育てるかについては、なかなか担い手がいないという状況や、ボランタリーなガイドが中心となっていることで、未来へつなぐという観点においては、対価をもらって仕事の一つとなるようなあり方が必要なのではないかという話もありました。

テーマ4春日山原始林を未来へつなぐために市民からできること
最後に市民からできることについて、伺いました。松井先生からは、原始林との関わりかたとして、森の木々の種から苗木を育ててもらうことを学校等と連携することで、森とのつながりを意識することにつながるのではないかと提案いただきました。朝廣さんからは、鹿サポーターズクラブとつなぐ会、市民団体どうしで連携してシカや原始林について学び合いを進めていくことができれば良いとの提案をいただけました。
竹田さんからは、参加者のみなさんが今日の話を家族や知り合いの方に話していくこと、そうして地道に伝えていくことが一番簡単にできることなのではと話されていました。実際に、終了後、竹田さんのSNSでシンポジウムのことを発信いただいて、こうした細かな発信が必要なだと少し反省しました(笑)
最後に河原会長からは、つなぐ会でさまざま実施している取り組みを紹介して活動へのお誘いをしてくれました。
春日山原始林のこれからの100年に向けて、森への関心を高めて、森を見つめ続けるひとを増やしていく。その取り組みをこれからも進めていくことが、原始林を未来へつなぐことになると信じて、今後も取り組みを進めていければと思いました。
最後にこうした取り組みに対して、快諾をいただいた、登壇者の皆様、運営面でさまざまなサポートをいただいた奈良公園室の皆様、会の活動を支えてくださっているつなぐ会の会員の皆様に改めて御礼を申し上げます。
(文責:すぎやま)
2025年06月10日
春日山原始林 天然記念物指定100周年記念イベント

平安時代の承和8年(841年)、春日大社の神山・御蓋山とともに神域とされた春日山は、明治以降、奈良公園の一部となり、その歴史的・文化的背景を持つ森林生態系の学術的価値が高く評価されました。大正13年(1924年)には「春日山原始林」として天然記念物に指定されています。 今年(令和7年・2025年)は春日山原始林は天然記念物指定100周年。都市部に隣接しながら、平安時代からおよそ1200年にわたり維持されてきたこの貴重な森の価値を、改めて見つめ直す機会としたいと考えています。 これからの100年を見据え、森を守り、その価値を未来へとつないでいくために、私たち市民に何ができるのか。設立10周年を迎える市民団体「春日山原始林を未来へつなぐ会」とともに、そのあり方を考えます。
開催日:2025年7月6日(日)14:00〜16:30
会 場:奈良公園バスターミナルレクチャーホール
参加費:無料
定 員:200名(事前申込制)
【プログラム】
開会挨拶:春日山原始林保全再生計画について
奈良県観光局 奈良公園室 室長 出井惣太
第1部 春日山原始林の価値を知る
スライドトーク 春日山原始林「生き物たちの暮らす森」
講師 佐藤和斗氏(自然写真家)
第2部 春日山原始林の未来を考える
春日山原始林を未来へつなぐ会活動の10年
杉山拓次(春日山原始林を未来へつなぐ会 事務局長)
パネルトーク「春日山原始林のこれからの100年に向けて」
パネリスト
・松井淳氏(春日山原始林保全計画検討委員会委員長)
・朝廣佳子氏(鹿サポーターズクラブ代表)
・竹田博康氏(前奈良県観光局長)
・河原宏吉(春日山原始林を未来へつなぐ会会長)
千年以上にわたり、奈良の自然や暮らしを支えてきた春日山原始林。その貴重な価値を次の世代へ引き継いでいくために、自由な発想のアイデアを募集しています。たとえば、春日山原始林の森林生態系を守るための取り組みや、観光としての魅力を高める工夫、さらには多くの方にこの森の存在を知ってもらうためのアイデアなど。春日山原始林の未来について、みなさんと一緒に考えていけたらと思っています。 また、パネルトークで聞いてみたいこともあわせて募集中です。お申し込みの際、フォームにご記入ください。
【登壇者プロフィール】(敬称略)
■スライドトーク講師
佐藤和斗(さとうかずと) 自然写真家
1984年 奈良市生まれ。
2014年より「 鹿たちの楽園 」をテーマに奈良公園の鹿たちを撮影、写真集を多数発刊。2020年から春日山原始林入り「 生き物たちの暮す森 」をテーマに撮影を続けている。雑誌や観光ポスター等への作品提供、講演会、TV・ラジオ出演の他、自身で写真教室を主催する他、Canonの講師を務めるなど幅広い分野で活動している。■パネルトーク登壇者
松井淳(まついきよし)
春日山原始林保全計画検討委員会委員長
奈良教育大学特任教授
専門は植物生態学。カエデ類の繁殖生態や湿原植物の保全生態に関する研究を手がけ、奈良では大峯山系や大台ヶ原における森林生態系の更新に関する調査研究に関わっている。大台ヶ原自然再生推進委員会委員、奈良県レッドデータブック改訂委員、奈良植物研究会会長などを兼務。 著書に「奈良公園の案内書~極(きわみ~」(分担;角川アスキー総合研究所)、「深泥池の自然と暮らし」(分担;サンライズ出版)など.
朝廣 佳子(あさひろよしこ)
鹿サポーターズクラブ会長
(株)読売奈良ライフ代表取締役社長。1990年より様々なまちづくりに携わる。1999年奈良青年会議所理事長。なら燈花会実行委員長。翌年より2004年まで会長。2005年より平城遷都祭実行委員長。平城遷都1300年祭を経て平城京天平祭実行委員長。
鹿については財団法人奈良の鹿愛護会理事を経て現在、監事。2009年に愛護会をサポートする団体として、鹿サポーターズクラブを立ち上げ現在も会長を務める。会員数150人。人と鹿が共生する社会を目指し、奈良公園の見回りや頭数調査、角切りなどのお手伝い、勉強会、どんぐり拾い大会など年間を通じて事業を行っている。 奈良のシカ保護管理計画検討委員会委員。竹田博康(たけだひろやす)
奈良県ビジターズビューロー専務理事
平城遷都1300年祭の翌年、平成23年より奈良公園でのプロジェクトを牽引し、奈良公園周辺でのまちづくりや誘客促進、整備・管理など、奈良公園の価値を維持向上。これまで、地域の人が光を観ることができてこそ、訪れる人が光を観ることができるをモットーに、観光地域づくりに邁進観光局長を最後に奈良県を令和7年3月に退職。現在は、奈良のブランディングを妄想中。今後は、地域連携DMOとして、データに基づくマーケティングを行いつつ、ポテンシャルの高い奈良の観光地のさらなる磨き上げに貢献。facebook、INSTAGRAM、X(twitter)で、奈良公園を中心に奈良を発信中
河原宏吉(かわはらひろよし)
春日山原始林を未来へつなぐ会 会長
奈良教育大学卒、其の後、羽根木プレーパークで1年間活動、中学校教員ののち有機農業をそれぞれ20年弱従事する。その間、自主夜間中学スタッフ、社福法人わたぼうしの会評議員を務める。グリーンあすならの世話役を経てつなぐ会に入会。2024年に2代目の会長就任。
主 催:春日山原始林を未来へつなぐ会
共 催:奈良県奈良公園室
2025年03月31日
例年アースデイ奈良で実施してきた「春日山自然学校プロジェクト」を今年も開催いたします。
昨年より、アースデイ奈良が「あちこち開催」の形をとっているため、今年は、奈良公園バスターミナルでの体験プログラムと展示、春日山原始林を訪れる「歩いて学ぶ春日山」を開催します。

開催日 2025年4月27日(日)10:00〜16:00
場 所 奈良公園バスターミナル東棟1F
内 容 葉っぱの魚釣り・春日山の木を使った小物の展示等(予定)
歩いて学ぶ春日山(フィールドワーク)*要事前申込
*歩いて学ぶ春日山
奈良公園バスターミナルから、歩いて15分のところに春日山原始林はあります。つなぐ会のガイドメンバーと一緒に春の原始林を訪れてみませんか?午前・午後と2回の開催を予定しています。ぜひお申し込みください。
集合 奈良公園バスターミナル東棟1階
https://g.co/kgs/yR3J4aT
時間 午前の部 10:30〜12:30
午後の部 13:30〜15:30
ルート 奈良公園バスターミナル−浮雲園地−水谷神社前−春日山遊歩道(北部)−途中折り返し
参考:春日山原始林ガイドウォーク ちょっとコース
参加費 お一人500円
お申込み https://forms.gle/qPEZyb91LHgkjqme7