春日山原始林を未来へつなぐ会

事務局日誌

【レポート】第41回世界遺産春日山原始林観察会 昆虫と夜の森 編

夕立がザーッと降った蒸し暑い夏の夜
第41回の観察会を実施しました。

今回は、昆虫と夜の森をテーマ。奈良教育大学の小長谷先生を講師に迎え実施しました。集合は夕暮れ近い18:00。これから暗くなっていく原始林の遊歩道を歩きます。
初めはライトをつけないで、暗闇に目を慣らしながら歩きました。

つなぐ会のスタッフからは、春日山原始林の背景や、現在の課題などのお話をさせていただきました。

予定していたスポットに到着して、ライトトラップの準備です。
小長谷先生にご用意いただいたライトは紫外線の強いライト。参加者の皆さんにはUVカットのサングラス
やメガネを用意してもらいました。昔は電源の確保が難しかったライトトラップも、現在は蓄電池のおかげで
気軽にできるようになりました。

日没の時間をめどにセットして、しばらく森を散策。カラスの寝床の騒がしい場所まで来るとグルグルグルという声がして、ムササビが登場してくれました。
他にもよるの春日山ではよく見かけるカマドウマやヤマナメクジ、ヤマビルも登場。暗い夜の雰囲気を楽しみながら再びトラップ設置の場所まで戻りました。


戻ってみると、少しずつ小さな昆虫が集まってくれていました。
甲虫で大物は、オオフタモンウバタマコメツキ、アオドウガネ、スジクワガタのメスが来てくれた他、キノコムシや、小さなゴミムシの仲間が。そのほかは、ハエの仲間、カゲロウのほか、蛾の仲間が集まってきました。
なかなか、大物が来ないなあと思っていると、大きな蛾が登場。美しいヤママユガでした。

また、トラップの光に誘われて、再びムササビが登場。じっくりその姿を観察することもできました。 夜の森でのライトトラップは初めての体験でしたが、参加した小さな昆虫博士たちも興奮気味に楽しんでくれました。

※今回の観察会は、事前に奈良公園室に相談した上で実施しております。 ライトトラップに集まった虫たちは観察にとどめて、採集は行っておりません。 春日山原始林での動植物の捕獲・採集は禁じられています。


8/25 第41回世界遺産春日山原始林観察会 昆虫と夜の森 編

暑い日が続いていますね。

夏休み真っ最中ですが、夏の思い出に春日山での夜の観察会を開催します。普段訪れることのない夜の森で昆虫を集めるライトトラップを実施します。果たしてどんな昆虫に出会えるのか?

知られざる春日山原始林の姿を観察しましょう。講師には、奈良教育大学の理科教育講座で昆虫について研究されている小長谷先生をお迎えします。

貴重な機会、ぜひご参加ください。

第41回 世界遺産春日山原始林観察会 

春日山の昆虫と夜の森

講 師 小長谷 達郎 氏(奈良教育大学准教授)

ライトトラップで春日山の夜の虫を観察します。 また、普段歩くことのない夜の森を歩き日中とは違う夜の森を感じます。
開催日  2023年8月25日(金) 時 間  18:00〜20:30頃 集合解散 水谷茶屋横      https://goo.gl/maps/BC7rVzp1LGTSt4EUA 参加対象 小学生以上(小学生以下は保護者同伴) 定 員  30人(定員になり次第締め切り)  参加費  お一人 500円(当会会員は無料) 持ち物  懐中電灯、筆記用具、飲み物、軽食
お申込み https://forms.gle/UFUz8knAA7R9ZBzu6

※本プログラムは、管理者の許可のもと実施するものです。
※春日山原始林は特別天然記念物のため、昆虫採集は禁止されています。
※昆虫採集のプログラムではありません。あらかじめご了承くださ
※この観察会はならコープ 環境活動助成を活用して実施します。 い。

ライトトラップのイメージ(実際の機材とは異なります)


【レポート】第40回世界遺産春日山原始林観察会 野鳥編

第40回の観察会。当初は6/11を予定しましたが雨天のため順延。
これが功を奏して、6/25(日)は曇り空でしたが暑すぎず気持ちの良い1日となりました。

講師は、野鳥の会奈良支部の楺井千代子さん。
集合場所の春日大社国宝殿カフェの前のコシアカツバメの巣の観察からスタートしました。

ゆっくり鳥の声に耳を澄ましながら、進みます。春日大社の境内では、カラスの種類について解説。もともと山や森に棲息しているハシブトガラスと、河原などに棲息しているハシボソガラスの違いを学びました。

春日山へ入ると、いろいろな声が。近くを飛んでくれていたのはヤマガラ。春日山の夏鳥の代表選手であるキビタキやオオルリの声も聞こえました。

夏の森は葉が茂りバードウォッチングには不向きな季節なのですが、この日は、数多くの野鳥たちがその姿をあらわしてくれて、それぞれの双眼鏡や、楺井さんやスタッフの持ってきたスコープで観察することができました。

春日山では、下層植生の衰退によりウグイスの減少が指摘されていましたが、近年は回復傾向に。他にも以前いた野鳥が戻ってきているという話がありました。

これは、手放しで喜べる状況ではなく、周辺の自然環境が劣化したことで、仕方なく春日山へ来ている可能性も考えられます。

観察会は朝7:30からのスタートと、早かったため、ゆっくり歩いて若草山山頂への到着は11:30。半日ではありましたが充実した時間が過ごせたようです。

この日確認できた野鳥(声のみ)は20種。普通に歩いていると聞き逃している野鳥の声も耳をすませば聞こえてきます。森を歩く時はぜひ耳も使って歩けると良いですね。