第28回目のとなる、世界遺産春日山原始林観察会を開催しました。
今回のテーマは「きのこ」実は、これまでアンケートで度々希望があったテーマで実施しました。通常の観察会では、雨天の場合は中止とすることが多いのですが、今回は、湿った環境で観察がしやすいということもあり、講師の先生にもご相談して雨天決行としました。
今回、講師をお願いしたのは、京都大学フィールド科学教育研究センター助教の赤石大輔さん。京大の「森里海連環学教育研究ユニット」で、市民参加型の学びの場「京と森の学び舎」というプログラムを担当、自然共生や持続可能な社会づくりを地域と共に考える機会を創出されています。一方で、元々、キノコにつく甲虫を研究されていたこともあり、キノコにも詳しい。
きのこ初心者の方でも関心が湧くような視点で解説していただけるのでは?と思いお願いしました。
冒頭は、赤石さんより、キノコに関する簡単なレクチャー。春日山原始林で観察しやすいキノコの分類として、テングダケの仲間、イグチの仲間、ベニタケの仲間の3つが、観察できるのではないかとのことでした。参加者の皆さんは、キノコに関心はあるものの、よく知らなかったキノコの世界について興味津々。雨も少し弱まったところで歩き出しました。
春日大社境内から春日山遊歩道(北部)への道すがらで、たくさんのきのこに遭遇。ちぎると色が変わるもの、食べると美味しいきのこ、冬虫夏草の一種など次々発見して、なかなか先へ進みません(汗)
春日山遊歩道でも、普段はキノコの印象はあまりないのですが、キノコの目線(キノコ眼)でみると、次々に発見。卵のような形から生まれるようなテングタケの仲間、カブトムシの匂いがするベニタケの仲間、傘の裏がスポンジ状のイグチの仲間など、想像していた以上に多くの種類のキノコに出会えました。
キノコには、色々種類があり、朽ちた木を分解するキノコや、木の根から栄養を受け取るキノコなど様々であることなど、樹木とキノコの共生関係について知り、食べると美味しいか。形や構造の特徴を丁寧に解説いただくなど、雨の中ではありましたが、充実した観察会となりました。
他にもキノコにつく、キノコムシの仲間や、大きなシーボルトミミズ、ヤマビルにも?出会えて雨の日ならではの春日山を体験いただく機会となりました。
一方で、雨によって水谷川の流れが早く、土砂の流出がみられること、鹿の食害と関係しているナギやナンキンハゼのこと、植生保護柵やナラ枯れなど原始林の抱えていることについては、事務局側から簡単に説明をさせていただきました。
参加者のアンケートを見ると
・普段聴けないことがわかった
・とても親しみやすく、身近に感じた
・身近に色んなキノコがあること知った
・もっと聞きたかった
・非常に楽しかった
という声をいただきました。
まだまだ知らない春日山の自然、今後もさまざまなテーマで開催しますので是非ご期待ください。
※当会観察会では、奈良県からの許可のもと、春日山原始林の保全に関わる普及・啓発活動の一環として、観察の際に止むを得ず必要とされる若干量を採取し、参加者の皆様の理解を深めることにしております。一般での採取・持ち帰りは禁止となっておりますので、ご注意ください。