春日山原始林を未来へつなぐ会

事務局日誌

【報告】1/28 「鹿垣を巡る」を実施しました!

2018年02月05日

寒さの続く1月28日。2週連続の観察会として[鹿垣を巡る]を開催しました。[鹿垣(ししがき)]とは、野生動物による農作物被害を防ぐ目的で農地の周囲を木柵、石垣、土塀(土塁)などによって囲んだ設備のこと。この鹿垣が、江戸時代に奈良公園周辺から春日山をぐるりと取り囲むように設置されていたそうです。
今回の観察会では、バスをチャーターして、その鹿垣の遺構を見学し、先人の知恵に触れると共に、春日奥山ドライブウェイでつなぐ会の保全の活動(主にナラ枯れ対策)について知っていただく機会としました。

解説を聴きながら鹿垣を辿ると当時の人々の生活の息遣いが聞こえてくるようでした。

神鹿として、方や獣害としての『奈良のシカ』に対処した農民の生活史が深く刻まれた原始林周辺の鹿垣の存在は 歴史的・文化的に貴重であるにもかかわらず人知れず風化が進んでいることは痛ましいものです。学びの場として価値ある鹿垣の保存と活用は今後の課題と感じました。

【参加者の声】

・奈良と鹿は切っても切り離せないものであることが改めて分かった鹿を大事に守る中で、為されてきた人々の営みの工夫が、歩いてみてよく分かった。本日、知ったり学んだことを周りにも伝えていきたい。
・鹿垣がこれ程広大な形で展開されていた事に驚きでした。
・今日はありがとうございました。奈良の古い歴史に触れた思いです。
・鹿垣がこれ程残っているとは思いませんでした。貴重な物で大切にしてほしいです。昔の人も鹿には苦労したのですね。

 


【報告】原始林内の植生保護柵の点検作業

2018年02月02日

春日山原始林内には、奈良県によって、36ヶ所の「植生保護柵」が設けられています。原始林内で深刻化している、下層植生の衰退や、後継樹の確保にむけて、モニタリングを行い、今後の原始林の保全のあり方を検討する材料にするためです。つなぐ会では、今年度この36カ所について巡視をすることになり、原始林内を歩き、設置された保護柵の破損などを点検するほか、周辺に堆積した枯れ枝等を除去する整備作業を行っています。 1月31日(水) 保全ワーキンググループで原始林内の保護柵の点検作業を行いました。 この日の参加者は25名。原始林内は危険も伴うためヘルメットを着用します。グループを4つに分けて原始林内の保護作を点検します。 登っていくのは急斜面。登山道ではないので場所によっては非常に急峻な箇所も。ほとんどの方がスパイク付きの地下足袋等を履いて歩きます。 植生保護柵は斜面に設置されている箇所も多いため、堆積物が溜まってしまいます。これを除去して、柵の破損を点検します。 柵の周辺や林内を歩くと、動物たちの痕跡がいくつも見られました。 シカによる角とぎのあと。 動物の糞(タヌキ?) ムササビの食痕 イノシシのヌタ場 また、林内の小さな沢では凍っている箇所もありました。
今回の点検では、大きな破損は見当たりませんでした。 このような地道かな活動を通じて、原始林の保全活動に取り組んでいます。

【報告】春日山原始林内の温度・湿度を計測しています。

2018年01月25日

1/24(水)。奈良は今年一番の寒さとなりましたが、この日は保全ワーキンググループの活動日。原始林内に設置された植生保護柵の見回りと、周辺の倒木等の処理作業を行っています。
また、この日は、原始林内の保護柵に設置してある温度湿度計のデータ確認も行いました。

この調査は、過去に春日山原始林での温度湿度調査のデータと比較して、どのような変化があるかを調べることで、原始林の状況を確認していこうというものです。
設置された機器にPCを接続し、データを吸い出します。

この日は、あまりの寒さに温度計を入れておくケースが凍っていました。地道な取組ですが、つなぐ会でもできることから原始林の調査を進めていければと思います。

まだまだデータを公表できるほど蓄積できていませんが、
今後、調査を進めて公表できるようになればと考えています。