Facebookでは、先行して情報をアップしましたが、昨日(2020/9/22)の読売新聞奈良版の「ニュースの門@奈良」という連載で、春日山原始林のことについて掲載いただきました。原始林内に設置されている植生保護柵までお越しいただき、柵の効果と、シカによる採食圧の状況を理解いただく良い機会となりました。
取材には、奈良県奈良公園室も同行いただきました。記事の中では触れられていませんが、春日山原始林の活動を今後も支えていくためにも「奈良公園観光地域活性化基金」への市民の皆さんからの寄付をお願いしたいと話されていました。
植生保護柵の効果は記事中の写真を見れば明らかです。保護柵内の大きな樹が倒木し、日照条件がよくなった柵内は、記事中にもあるようなウリハダカエデやカラスザンショウなどの落葉広葉樹が多くみられます。
それ以外にも周辺ではみられない草本類が数多く発生、もちろん、目立たないものの、原始林を構成すべきシイ・カシ類の実生も発生しています。
奈良県では、植生保護柵の別地域での追加を検討していますが、それと合わせて、現状設置している保護柵の拡大や、新規の柵の設置なども積極的に行う必要があります。それでも全山を柵で囲うのは非現実的。。。
それ以外ではどのような方法があるのか?
原始林の保全計画は委員会と行政に委ねられていますが、私たちも日々春日山と向き合いながら、方法を模索していきたいと思います。
(事務局 杉山)
人と自然の関わりの中で残されてきた春日山原始林や奈良公園の自然を、楽しみながら学ぶ場として活かす「春日山自然学校」。世界文化遺産で特別天然記念物の春日山原始林でも地球温暖化の他さまざまな要因からこの森を維持することが難くなってきていると言われています。その価値と課題を知り次世代へ伝えていくための講座として、春日山の自然と歴史を学ぶ大人向け、奈良公園の自然で遊ぶ親子向けの2コースで開校します。
日時:2020年10月11日(日)10:00~12:30ごろ
集合:浮雲園地入口(奈良交通バス「東大寺大仏殿」バス停付近)
参加費:無料
お申し込み:ページ下部にあるお申込みフォームよりお申込みください
1.歩いて学ぶ春日山
秋の春日山原始林を歩き、その自然と歴史、そして課題について学びます。
定員:30名程度
対象:小学5年生以上(小学生以下は保護者同伴)
コース:浮雲園地~春日山遊歩道(北部)~若草山山頂(解散)
※山頂解散となります。若草山より下山する場合は別途入山料(150円)が必要です。
※昼食を持参いただき、解散後に遊歩道散策も可能です。(ガイドはつきません)
ガイド:春日山原始林を未来へつなぐ会
2.親子で楽しむネイチャーゲーム
春日山原始林や奈良公園の自然を楽しみながら、自然環境と人とのつながりについて学びます。
定員:10組(20名程度)
対象:小学生以上の子どもとその保護者(*未就学児は見学のみ)
参加費:無料
フィールド:春日山遊歩道周辺(北部)
講師:奈良県シェアリングネイチャー協会
感染症対策について
・グループ分けにて、密接・密集にならないよう実施します。
・検温・手指消毒・マスク着用にご協力いただきますよう、お願いいたします。
共催:NPO法人 奈良ストップ温暖化の会NASO
春日山原始林を未来へつなぐ会
協力:奈良県シェアリングネイチャー協会
この事業は近畿ろうきん・社会貢献預金(笑顔プラス)の寄付金で実施しています。
お申し込みは以下のフォームからお願いします。
https://forms.gle/YG2n2LFZYbJp9AT4A
9月に入り、秋を感じるようになった日曜日。第29回目となる「世界遺産春日山原始林観察会」が開催されました。
今回は「春日山でシダにまみれる」と題してこれまで実施してこなかった「シダ」をテーマとした観察会です。
講師にお迎えしたのは吉野で私設のシダ博物館「しだのすみか」を解説しているシダ好き女子“シダジョ”の木下茉実さん。
今回の参加者も常連さん、会員さんなど20名弱にお集まりいただき和気藹々とシダを楽しみました。
スタートは、春日大社の境内地の森から。大きな杉の麓にある「カミガモシダ」からスタートしました。春日大社や春日山で見られる貴重なシダといえばこのシダということですが、近年の台風等の影響により日当たりが良くなっている箇所が多く、今後の生息環境が少し心配されるところです。
その後はゆっくり歩きながら水谷神社を経由して春日山遊歩道へ。シダの識別のポイント(葉の切れ込みや胞子嚢群(ソーラス)の違いなど)を学びつつ、苔と見間違えそうなシダや、生活の中で利用されてきたシダなど、「シダ愛」たっぷりで解説いただきました。
一方で、日当たり環境の変化とシカが食べないということから、ナチシダやイワヒメワラビが増えている状況などを確認し、春日山原始林の現状についても少し説明をさせていただきました。ただ図鑑では、「食べない」となっている種類のシダも一部食べられているところもあり、シカも食糧に困っている状態にあるのでは?という話もでてきました。
最後に、木下さんが春日山を歩かれて本来はもっと多様なシダがいてもおかしくない環境であるにもかかわらず乾燥が進んでいて残念だ。というコメントがあり、もっと多様性のある春日山を目指して、様々な取り組みを進めていきたいと感じました。
今回見つけた(解説してもらったシダ)
カミガモシダ、マメヅタ、イワヒメワラビ、ナチシダ、ノキシノブ、ビロウドシダ、ウチワゴケ、アカシダ、イタチシダ、タチシノブ、イノデ、フモトシダ、ヒメクラマゴケ、イワガネソウ、オオバノイノモトソウ、ジュウモンジシダ、コウヤコケシノブ、トウゲシバ、シシガシラ、ミツデウラボシ、ゼンマイ、ウラジロ(全22種)
【参加者からの感想(抜粋)】
とてもわかりやすく、初心者向きの説明だったので、なんとか覚えられそう、という幻想を抱かせてもらました。
観察会テーマ(シダ)自体が興味深く面白かったということもあるが、講師自身がいかに楽しんで対象に取り組んでいるかということが強く伝わってきたという点においても本日はすばらしかった。
先生は丁寧な話っぷりでわかりやすかった。何より、シダへの愛が伝わってきてこちらもときめく気持ちになれた。時間、ボリューム、距離、気候もちょうど良かった。