春日山原始林を未来へつなぐ会

事務局日誌

ナラ枯れ対策について

2016年06月01日

春日山原始林を未来へつなぐ会では、保全ワーキングループの活動として、春日山原始林の一部の地域において、ナラ枯れの原因となる「カシノナガキクイムシ」の捕獲するトラップを設置しています。
5月半ばに設置が終了し、本日、トラップの管理作業を行いました。

カシノナガキクイムシは、6~7月は発生のピークと言うこともあり、どのくらい捕獲できたかを保全グループの皆さんと楽しみに(?)行きました。

すると (※このあと大量の昆虫の写真がでてきます。苦手な方はご遠慮ください)

いるわいるわ。大量のムシが捕獲できました。
トラップにはアルコールを誘因剤として取り付け、ここで虫が入った後、溺死するという仕組みです。
これを取り出して、まな板に並べ、捕獲数を数えます。
ただ、カシナガ以外の甲虫やムカデ、今回はカナヘビ(!)も入ってしまい、残念なことも起こってしまいます。

本日、捕獲できたのは合計約38000頭!原始林内の24本の樹へ設置しましたが、多いところは1カ所で3000頭以上捕獲されていました。この数字、実は昨年秋に実施した際の総数をすでに超えてしまいました。

トラップの管理作業後、誘因剤の取り替えを行うと、数分後には数匹が捕獲されていました。
恐るべしカシナガ。
今後、原始林内での作業では、ヒルの発生などもあり困難を極めることになりそうです。
次回の作業は2週間後。どのくらいとれているのでしょうか。
カシナガの猛威を肌で感じる事となりました。

■奈良公園観光地域活性化基金のご案内
当会の活動の支援として、奈良県の「奈良公園観光地域活性化基金」へのご寄付をお願いいたします。本基金への寄付は、ふるさと納税と同じ仕組みなので、寄付した金額の内一部が還付されます。
詳しくは以下をごらんください。
http://www.pref.nara.jp/37152.htm

(事務局 すぎやま)

第9回 春日山原始林保全計画検討委員会が開催されました。

2016年03月11日

昨日、「第9回春日山原始林保全計画検討委員会」が開催されました。

主な議事内容は

(1)春日山原始林における後継樹育成について
(2)春日山原始林における常緑広葉樹ナギの本格的な数量調整について
(3)春日山原始林保全計画のとりまとめについて

(1)については、前回の検討委員会で提案された後継樹育成のための種子採取と育苗について、議論を深めたことになりました。基本的には、種子採取をして7年間育成させた後、補植するということです。補植についても、倒木のあったギャップに元あった樹種を植えるなど大きな改変とならないよう注意しながら進めていくとのことです。

(2)については、原始林内のナギの植生状況を把握した上で、ゾーニングを行い、数量調整を実施していくという内容でした。ただし、ナギが密生している地域で数量調整した後、そのエリアを柵で囲うなどの対策を行わないと、シカやイノシシなどの影響により下層植生の回復は困難なため、細かな対応が必要となりそうです。

(3)については、これまでの議論を集約して以下の10の基本方針を元に保全方策を実施することが決まりました。

■春日山原始林の10の保全方策
01.照葉樹林を良好な状態で維持する保全方策を実施する
02.照葉樹林の多様性を維持する保全方策を実施する
03.後継樹を育成し文化財としての価値を修復する保全方策を実施する
04.外来種ナンキンハゼの侵入を抑制する保全方策を実施する
05.常緑針葉樹ナギの拡大を抑制する保全方策を実施する
06.ナラ枯れの拡大を抑制する保全方策を実施する
07.花山・芳山地区人工林の保全・利活用を実施する
08.保全事業を円滑に実施し得る仕組み作りを行う
09.多様な主体の参画を図る
10.春日山原始林に関する基礎情報のマネジメントを図る

計画は5ヶ年の短期目標、15年~30年の中期目標、100年後の長期目標に分けられていますが、これが具体性を持って実行されるかが、今後の大きな課題となります。
特に資金面については、県予算が今後目減りしていくことが予測される中、たのみの綱が「奈良公園観光地域活性化基金」という寄付ベースの資金となり、安定性に欠けるため、国の特別天然記念物で世界文化遺産の1要素である春日山原始林の保全の必要性(魅力・価値)を効果的に伝え、多くの方々が「原始林の保全が必要だ」と認識を広めていくことが最も重要ではないかと考えます。

春日山原始林保全計画検討委員会

11/7 神山をきく 世界遺産春日山原始林さんぽ 香編を実施しました。

2015年11月28日

11/7に奈良市観光協会とのコラボ企画 『神山をきく 世界遺産 春日山原始林さんぽ 香編』を実施しました。
参加者は6名。奈良県近郊からだけでなく、関東からもご参加いただきました。

この『神山をきく』というタイトルには神の山である春日山で香や音を『きく≒感じる』をテーマに実施するツアーです。

香で自分の状態について気がついたり、森の中で自分の香を探したり。
原始林の紅葉を楽しみながら、自分の感覚をひらいて、森を感じていただきました。
同時に、原始林で今起きている問題についてもお伝えして、原始林について知っていただく機会としました。

滝坂のみち沿いにある朝日観音

昼食は、地獄谷園地の池の畔で

お昼ご飯は『ミアズブレッド』のランチボックス。皆さんに喜んでもらえました!

森の中で自分の香り探し。葉っぱや実、苔なども拾ってきてくれました(ナンキンハゼのはっぱは飾りです)

感じた香りをみなさんでシェアしました。

遊歩道沿いのイロハモミジがちょうど見頃でした!

11/20-21は、宿泊型の『五感で感じる 春日山原始林 南都八景ツアー』
11/28 は『神山をきく 世界遺産春日山原始林さんぽ 音編』
11/29 は『第4回春日山原始林観察会』
と11月後編は休みなしのツアー三昧。
フェイスブックやこのブログでまたご報告させていただきます。

(文責 杉山)